印鑑 高知 橋本日進堂印房 ハンコ彫刻作業

印鑑、実印の通信販売/はんこやさん橋本日進堂印房ネット店(高知市)

ハンコ彫刻作業

 WEB篆刻教室のページでは石のハンコの説明をしていますが、書道の篆刻と私達が日常に使う認印や実印(実用印)は少し道具や手つきが違います。

 まあ、興味がある方はそんなに居ないかも知れませんが(^^;;ちょっとご紹介をしておきます。

 全ての工程の写真を自分ので撮れていないので業界のパンフレットの写真も併用しています。くっきりした写真はワタシです。クリックで大きな写真が開きます。






印刀:木口刀(こぐちとう)

 深さ方向に彫り込むための印刀(いんとう)です。

 粗彫り刀(あらぼりとう)とも呼び、先端はミゾを彫るノミの形になっています。

 一番狭いものは髪の毛より狭いミゾを彫ることが出来ます。

 5〜7本で一組に使い分けます。ここでは日常的に使う5本が写っています。

 鋼(ハガネ)は日本刀や和包丁と同じ構造で堅い鋼を柔らかい鉄で挟んでいます。

 木の柄で挟み、籐で巻いて職人それぞれが自分の手に馴染むように仕立てます。



印刀:仕上刀(しあげとう)

写真上は木口刀、下が仕上刀です。

判刺しとも呼ばれ、片刃の切り出しナイフ状になっています。

木口刀で彫り込んだ断面をなめらかに調整します。




印稿(いんこう)

ここから、ご注文をいただいたハンコを彫刻する工程の説明になります。


文字の組み合わせや書体によりただ文字を並べただけでバランスよく収まるとは限りません。

材料へ文字を書く前に紙へラフデザインをして、「ここの線は少し伸ばした方がかっこいいかな」とか「こちらの文字が大きく見えるので少し小さめにしよう」とか考えます。

複雑でないデザインの場合はアタマの中で計算しながら直接、材料に文字を書くこともあります。




字入れ(じいれ)

布字(ふせじ)とも言います。

滑らかに研磨した材料に朱墨を塗り、文字を書き入れます。

ここでは直接、裏返しに書き入れていますが、紙に墨で書いたものを転写する方法もあります。書体や材料により使い分けます。






粗彫り(あらぼり)


 
  ↑篆刻台(てんこくだい)

(写真では作品展示室に載せてある『岡山後楽園延養亭名月鑑賞会』の印が入っています)
木口刀で不要な部分を彫り込みます。

粗彫り(あらぼり)と言っても次の仕上げ工程がほとんど要らないくらいの精度で彫らなければ、くっきりと捺せる良いハンコにはなりません。

私は基本的に印材をはさみ木という道具ではさみ、棒台(ぼうだい)を使って彫る流儀ですが、字入れから仕上げまで全てを篆刻台で行う流儀もあります。

棒台+はさみ木、篆刻台それぞれ適した作業など特徴がありますが、多くの職人さんは適材適所で使い分けをしていて、私も大きな角印などは篆刻台で全ての作業を行います。





仕上げ

木口刀で彫り込んだ文字や輪郭をスムーズに整えるように仕上げます。

柘などの柔らかい材質、弾力性のある水牛、硬い象牙など材質によって適した角度や深さで粗彫りから仕上げまで工程を進めます。

例えば象牙は硬いですが弾力性が無いので水牛と同じ彫り方だとショックに弱い欠け易いハンコになります。

激安!!(爆)や超特価!!(苦笑)など機械的にどんどん彫ると「あら、乱暴にしてないのにもう欠けちゃった」とかって・・・・なるかも知れません。(/悪口はここまで)

パンフレットからスキャンした下の写真の「モデルの先生」も私と同じ様にはさみ木で印材を挟んでいますね。




試し捺しと修正

仕上げをしたハンコは必ず試しに捺して確認をします。

試しに捺して、最後の調整仕上げをしますが、時間にゆとりがあれば、少し時間をあけて見返すようにします。

ぱっと出来上がっても、すぐにお客様にお渡しするのではなく、できるだけゆっくり見返すことで「あ、もうちょっとこうした方がいいかな・・」って気づく事もありますから。

象牙や水牛は朱肉をきれいに拭き取ってからケースに入れてお渡ししますが、柘のハンコでは朱肉を完全に拭き取れないので、まったく新品のハンコでも試しに捺した朱肉が残っています。すみません。


文字入れから仕上げまでしてる動画って少ないのでリンクを貼っておきます。

ワタシが彫っている動画(YouTube)
テレビ取材でシンプルに見ていただくために「ものづくり教室」の石材に通常の印鑑の作業手法で落款っぽいのをちょこちょこっと彫っています。(RKCテレビこうちeye「土佐人力」より再編集)

京の名工・大槻秀山先生(YouTube)
京の名工・内閣総理大臣賞受賞大槻秀山先生による完全手彫り印鑑の工程
競技会審査員をご一緒させていただいてる大槻秀山先生(勝手にリンク^^;)


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